第3360冊目 プロフェッショナルの条件――いかに成果をあげ、成長するか P・F. ドラッカー (著), Peter F. Drucker (原著), 上田 惇生 (翻訳)


  • 成長と自己変革を続けるために


これらのことを紹介したのは、簡単な理由からである。それは、私が知っている人のうち、長い人生において、ずっと成果をあげてきた人のすべてが、私と同じようなことを、どこかで学んでいるからである。企業で成功したきた人、学者で成功してきた人もそうである。軍人もすである。医者や教師や芸術家もそうである。


私は、これまで大勢の人たちと一緒に仕事をしてきた。コンサルタントとして、企業、政府機関、大学、オペラハウス、オーケストラ、美術館など、いろいろな組織の人と会ってきた。そうしたときにいつも、私は何が彼らに成功をもたらしたかを聞き出してきた。そして、必ず素晴らしい話が聞けた。その結果わかったことは、成果をあげるにはどうしたらよいかという問いに対する答えは、「いくつか簡単なことを実行することである」ということだった。


第一に、ヴェルディの「ファルスタッフ」の話が教えてくれるようなビジョンをもつことである。努力を続けることこそ、老いることなく成熟するコツである。


第二に、私が気づいたところでは、成果をあげ続ける人は、フェイディアスと同じ仕事観をもっている。つまり神々が見ているという考え方である。彼らは、流すような仕事はしたがらない。仕事において真摯さを重視する。ということは、誇りをもち、完全を求めるということである。