第3559冊目「権力」を握る人の法則 ジェフリー・フェファー (著), 村井 章子 (翻訳)

 

 

 

「権力」を握る人の法則 (日経ビジネス人文庫)

「権力」を握る人の法則 (日経ビジネス人文庫)

 

 

 

実績が成功を約束しないのは、CEOなどの高い地位だけではないし、こうしたアメリカだけの現象でもない。インドのある大企業でマーケティング担当役員だった女性は、自分をトップリーダーとして認定してほしいとCEOにアピールした。認定されなければ報酬は平の役員よりも30%アップするし、昇格の可能性も高くなる。この女性は何の根拠もなしに厚かましい要求をしたわけでなく、売れ行き不振に陥ったブランドを立て直し、さらにインドの有力な広告コンテストで章をとったばかりであった。だがこのはなばなしい成果にもかかわらず、要求は却下された。

 

 

実績が昇進(どころか地位の維持)を約束してくれないのと同様、お粗末な成績が解雇や左遷に直結するわけでもない。著名なコンサルティング会社LECGのCEOマイケル・ジェフリーは、在任期間を通じて赤字続きだったにもかからわず、まる三年にわたってCEOの座を維持した。最終的には自ら辞任を申し出たのだが、最後の二年間で株価は80%も下がっている。この下げ幅は同業他社よりはるかに大きい。ジェフリーは会長と親交があり、取締役会を仕切る手腕に長け、かつ会社が抱く問題を全員者になすりつけることによって、三年間とは言えともかく生き延びたのだった。

 

 

上司がご満悦であれば、仕事の出来不出来はさほど問題ではないとうことである。逆に上司を不快にさせたら、いくら実績があっても首は危うい。