第3508冊目  FBI捜査官が教える第一印象」の心理学 ジョー・ナヴァロ (著), トニ・シアラ・ポインター   (著), 西田 美緒子 (翻訳)

 

 

 

FBI捜査官が教える「第一印象」の心理学

FBI捜査官が教える「第一印象」の心理学

 

 

 

-巧みな話術は感動を生む

 

 

ちょっと待って、話術は言葉なのでは? そう問いたくなるかもしれないが、そうではない。言葉は使う語とその内容のことで、話術はどうやって話すかのことだから、ノンバーバルなのだ。バラク・オバマの大統領選出に一役買ったのは、彼の話術だった。巧みな話術に惹かれるのは、聞いていると元気づけられ、落ち着くからだ。私たちは考え抜かれた内容を、興味深く、簡潔に、はっきりと話す人に惹かれ、そのすべてが巧みな話術を生み出している。それは世界中で通じ、あらゆる人の心に響く。

 

 

話術を得意とする人は多くない。けれども気を配れば上達することができる。ウィストン・チャーチルは巧みな話術で知られ、その言葉が引用される機会の多さは英語圏でも指折りだが、その巧みさは努力なしで得られたものではない。演説の前には必ず、何度も何度も練習を重ねた。気の利いた言い回しも、前もって考え抜いたものだった。そして実際に人前で話す彼の言葉は、はっきりと明瞭に響いた。私たちでも同じことがいえる――実際、俳優がリハーサルでしていることと同じではないだろうか。

 

 

いきなり立ち上がってチャーチルのように話せる有能な人はめったにいない。私は新しい講演の原稿を用意したら、何度も練習を重ねてから本番にのぞむことにしている。言葉も身ぶりも習性のように身につくまで練習する。ひとりでやるものいいが、友人や家族の前で練習して、率直な意見を求めるのもいい。言葉や話かたが実際にどう聞こえるかに耳を傾ける。自分の耳で聞くと、使う言葉や抑揚を変えたほうがいい部分に気付くことが多い。そして練習のときにも人前で話すときにも、自信をもって身ぶりを加えることを忘れずに。それは言葉を補強し、話術をさらに巧みにする。