第3450冊目 できる人の仕事の基本ワザ大全―――時間管理から人間関係、発想術まで、今日からすぐ使える! (知的生きかた文庫) 幸運社 (編集)

 

 

 

 

-名前で呼びかけて、心理的距離を縮める

 

 

人の名前というのは、その人のアイデンティティーそのものです。パーティー会場や混み合った飲食店で「かなりざわついていたのに、自分の名前が呼ばれたことに気がついた」という経験があるでしょう。

 

 

心理学的には、相手の名前を呼ぶことが、人間関係の構築やビジネスの進展に大きく貢献するとわかっています。

 

 

たとえば、ある自動車販売店で、営業担当者に「お客さんは、お名前でお呼びするように」と徹底したところ、新車の販売台数が20%も増えたといいます。また、ある病院では「診察時に、患者の名前を最低3回以上呼びかける」ようにしたところ、患者の医者に対する信頼度が明らかにアップしたそうです。

 

 

アメリカのFBI(連邦捜査局)では誘拐犯や立てこもり犯などとコンタクトをとる際、人質や被害者を極力、名前で呼ぶようにしています。こうすると、犯人が人質に危害を加える割合が明らかに低下するそうです。

 

 

アメリカ国民に絶大な人気を誇った第26代大統領セオドア・ルーズベルトは、初対面の人と会話を交わすときに、最初の3分間に相手の名前を必ず3回繰り返して親近感を持たせたといいます。ベストセラー「人を動かす」の著書で、自己啓発の分野で多大な影響力を持つアメリカのデール・カーネギーも、「初対面の人の名前はすぐに覚え、できるだけその名前を呼ぶようにする」ことが、好感度をあげる秘訣だとしています。

 

 

身近な例をあげましょう。部下にコピーをとってもらうときに、次の2パターンの言い方で依頼しました。

 

 

①○○君、この書類のコピーをとって。

②キミ、この書類のコピーをとって。

 

②のように部下のことを「キミ」と呼ぶと、その部下だけでなく周囲からの好感度も低くなるとわかったのです。

 

 

ただし、いくらコミュニケーションを深めたいといっても、男性があまり親しくない女性に対して、苗字だけでなく、下の名前でいきなり呼ぶのはマナー違反です。