第3486冊目  FBI捜査官が教える第一印象」の心理学 ジョー・ナヴァロ (著), トニ・シアラ・ポインター   (著), 西田 美緒子 (翻訳)

 

 

 

FBI捜査官が教える「第一印象」の心理学

FBI捜査官が教える「第一印象」の心理学

 

 

 

手――第一印象がものを言う

 

 

人は生き残りのために、動くものに反応する。そして人間の賢い手は、命を育む(食べ物を与える、抱く、揺すってあやす)ことも、致命傷を与える(殴る、えぐる、殺す)こともできるので、私たちは俊敏に動く手には常に気を配るよう進化してきた。身の安全を守るために手の動きをよくチェックしているから、誰かの手の第一印象が、その人を判断する材料になる。

 

 

手の清潔を保つことを心がけよう。人には、健康的で繁栄しそうに見える相手と同盟を結ぶ原始的な欲求がある。手で健全さを表現する必要があり、いつもきれいにして(爪の内側も忘れずに)、神経質に肌をいじりまわした跡や、噛んでギザギザになった爪などが見えないようにしなければならない。それらは不安な気持ちを連想させる。

 

 

仕事が医療関係(医師その他の医療専門家など)、食品関係(レストランの接客係など)、金融関係(銀行員、資産管理専門家など)なら、特に手の手入れは大切だ。販売の担当者は、顧客に商品を見せる際の手の重要性を意識する必要がある。私が知っている宝石商は、自分の手をいつも美しく、それでも控え目に手入れし、顧客に見せる効果な商品を囲んで引き立てる役割を果たすことを意識している。さまざまな調査の結果によれば、何よりもうんざりするのは爪を伸ばした男性だという。男性は手の爪を短くし、磨かずにおくほうがいい。

第3485冊目  FBI捜査官が教える第一印象」の心理学 ジョー・ナヴァロ (著), トニ・シアラ・ポインター   (著), 西田 美緒子 (翻訳)

 

 

 

FBI捜査官が教える「第一印象」の心理学

FBI捜査官が教える「第一印象」の心理学

 

 

 

-腕が表す自信と支配

 

 

両手を、親指が後ろになるようにしっかり腰に当て、ひじを横に張り出した姿勢は明らかな支配の表現だ。警察官や軍人や警備員でよく目にするし……親も採用する。その昔、私が夜遅く家に帰ると、母親はいつもその姿勢で迎えた。そのしぐさが送っているメッセージは、「問題がある」あるいは「私は一歩も引き下がる気はない」というものだ。

 

 

この姿勢の威力はとても大きいから、女性は時に応じてこれを意識的に利用し、男性がノンバーバルによって女性に与えるかすかな優位性に対抗することができる。その場合、親指を必ず腰の後ろ側に置くよう、注意しなければならない。親指を前にしてしまうと、その姿勢は支配というより、疑問に思う気持ちを表すことになる。

 

 

首の横に大きくひじを張り出して、「フード」のように見せる姿勢を考えてみよう。頭の後ろで手を組み、たいていはのけぞるように椅子の背にもたれかかる。気軽なパーティーからオフィスでの会話まで、あらゆるところで目にするポーズだ。体を大きく広げる姿勢と同様、フードは自信と縄張りを主張する――コブラが、体を大きく見せて支配力を誇示するためにフードを広げる様子を連想させる。同僚の前ならいいが、上司の前では禁物だ。フードを広げることができるのは、目上の者に限る。実際、この姿勢をとっているところに上司がやってくれば、無意識で、あっというまにやめてしまうだろう。

第3484冊目  FBI捜査官が教える第一印象」の心理学 ジョー・ナヴァロ (著), トニ・シアラ・ポインター   (著), 西田 美緒子 (翻訳)

 

 

 

FBI捜査官が教える「第一印象」の心理学

FBI捜査官が教える「第一印象」の心理学

 

 

 

-腕、手、指

 

 

工場現場の横を通りかかることがあったら、パワーショベルやブルドーザーをじっくり観察してみよう。私たちがブリーフケースを下げ、食品を棚にしまい、楽器を演奏し、子どもを抱くとき、ごくスムーズに何気なくこなしている動きを大ざっぱにでも再現しようと思えば、ずいぶんたくさんのヒンジやケーブル、滑車装置にレバーが必要になることがわかるだろう。そして人間の腕はなんと複雑で多才、しかも美しいと思いはじめるはずだ。

 

 

私たちの腕と手は、かつては前肢と前足で、歩行だけでなく身を守るためにも使われていた。大脳辺縁系の命令にとても掃除機に反応し、特に弱点である胴体を保護する役割には敏感に従う。アメリフットボールの試合を一〇分見ていれば、腕と手でできる数えきれないほどの守備的、攻撃的のいくつかを、確実に目にできる。遮る、押す、つかむ、力強く持ち上げる、投げるなど。さらに、タッチダウンが決まると重力に反するガッツポーズやハイタッチで縄張りを叫ぶ。反対に試合に負けると肩を落とし、腕の動きも小さくなって、遠慮がちな固まる動作を見える。

 

 

手と指は、外の世界をつかみとって自分のものにするための洗練されたシステムとして腕から伸びており、やはり心の中の状態をはっきりと表現する。指先で羽のように軽く触れれば、好奇心や畏怖の念、あるいは憧れを伝えることができる。腕、手、指が伝えるものの範囲は非常に広いので、私はいつもこれらの動きについてじっくり時間をかけて学ぶよう教えている。そうすることで、心を読もうとする前に相手の基準となるノンバーバルを理解できるようになる。

 

 

手や腕の使いかたには文化が色濃くにじみ出る。地中海地方の国々を旅行してみると、私の言っていることに納得がいくと思う。手の動きが実に表情豊かで、その土地の人だけに意味がわかるジェスチャーやしるしが、無数と言っていいほどたくさんある。それでも、大脳辺縁系の反応に変わりはない。

第3483冊目  FBI捜査官が教える第一印象」の心理学 ジョー・ナヴァロ (著), トニ・シアラ・ポインター   (著), 西田 美緒子 (翻訳)

 

 

 

FBI捜査官が教える「第一印象」の心理学

FBI捜査官が教える「第一印象」の心理学

 

 

 

-肩をすくめる、体を大きく広げる

 

 

貨物が予定どおり到着しなかった理由を配送責任者に尋ねたとき、ちょっと調べてからわずかに肩をすくめ、「わかりません」と答えたなら、おそらく行ったこと以上の事実を知っていると考えていい。本当の意味で肩をすくめるしぐさなら、重力に逆らって両肩がすばやく大きく上がり、返事に自信があることを表すだろう。

 

 

胴体と両腕を大きく広げる姿勢は、特に両脚も同時に広げているなら、前後関係に照らして考える必要がある。普通は快適な気持ちを表していて、同僚とリラックスしておしゃべりしながら体を大きく広げるのは問題ない。しかし、強烈な縄張りと優越性の誇示にもなるから、仕事の場で使うには注意が必要になる。一般的に言って、ビジネスの世界で体を大きく広げられるのは、大きな権力を握っている人物に限られる。社会的規範では、地位の高い人に領地が与えられる仕組みになっているからだ。常に、そして新入社員ならなおさらのこと、冷静さを保って周囲に気を配るだけでなく、ひじ、腕、脚、胴体をきちんと伸ばした礼儀正しい姿勢を保って、正しい方向に――自分の上司の方向に――まっすぐ体を向けるようにする。

第3482冊目  FBI捜査官が教える第一印象」の心理学 ジョー・ナヴァロ (著), トニ・シアラ・ポインター   (著), 西田 美緒子 (翻訳

 

 

FBI捜査官が教える「第一印象」の心理学

FBI捜査官が教える「第一印象」の心理学

 

 

 

-体の前面をまっすぐ向ける、体の前面をそむける

 

 

私は旅先で愛する者を歓迎する光景に出会うと、じっと見て飽きることがない。身を乗り出して、両腕を大きく広げ、体の前面を相手にすっかり見せてから、温かく抱き合う。それは私が「体の前面をまっすぐ向ける」と呼んでいる行動の完璧な例だ。私たちは目の前のことに好意的な感情を抱くと、その好感の源の方向に胴体を向け、自分の弱点を見せると同時に信頼の気持ちを示して、文字どおり自分をさらけ出す。体の前面をまっすぐ向けるしぐさは、単純だが強力に、尊敬の念を示す方法にもなる。話し相手が体をあさっての方向に向けたまま会話を続けたいという経験があるなら、それがどんなに失礼な印象を与えるか、わかるはずだ。そのため、「背を向ける」という言葉は「見捨てる」という意味に使われる。

 

 

つまり「体の前面をそむける」のは、不快に感じるものにそっぽを向くという動作になる。ほんのかすかなしぐさのこともあり――相手が期待にかなわない度合がだんだん強まるにつれて、わずかずつ、そむけかたが大きくなる――私たちの大脳辺縁系がどんなに用心深く胴体を守っているかがわかる。私が呼び名を決めてこれらを取り上げているのは、良好な人間関係にとって、体の前面の向きがどれだけ大切かを知ってもらいからだ。

 

 

どこの会議室やオフィスでも回転椅子を利用しているので、私たちがその時々に互いに反応し合うにつれ、体の前面の向きはすばやく変化し、またそれを観察することもできる。会議の様子を記録した映像を二倍速で再生してみると、体の前面をまっすぐ向けるかそむけるかが私たちの感情にどんなに正確に伝えているか、よくわかるだろう。会議中、上司が話している内容に関心があることを知ってほしければ、顔を向けるだけではいけない。体の前面をまっすぐ上司に向け、少し身を乗り出すようにするといい。

第3481冊目  FBI捜査官が教える第一印象」の心理学 ジョー・ナヴァロ (著), トニ・シアラ・ポインター   (著), 西田 美緒子 (翻訳)

 

 

 

FBI捜査官が教える「第一印象」の心理学

FBI捜査官が教える「第一印象」の心理学

 

 

 

-膝をこする

 

 

両手で膝をこするしぐさは、さまざまな状況で見られる「なだめ行動」だ。パーティーの客は座りながら膝をこすり、あたりを見回して話し相手を探すだろう。悪い業績の報告を受けている経営者は、不安を和らげるために膝をこする。予算の問題を解決しようとしている部長は、集中力と落ち着きを保とうとして膝をこする。途方もなく大きいストレスに直面した人や、衝動的な知らせを受けた人は、何度も何度も膝をこすりながら、自分がどんなに力をこめて頻繁に手を動かしているかに気付いていないことも多い。

第3480冊目  FBI捜査官が教える第一印象」の心理学 ジョー・ナヴァロ (著), トニ・シアラ・ポインター   (著), 西田 美緒子 (翻訳)

 

 

FBI捜査官が教える「第一印象」の心理学

FBI捜査官が教える「第一印象」の心理学

 

 

 

-足を固定する

 

 

座りながら両足首をしっかり組んで固定したり、足首を椅子の脚にからめて後ろに引っ込めたりするのは、固まる行動で、心配や不安を表している。会話中に急に足が固定されたのなら、話に何か都合の悪い要素があったのだろう。女性は足首を組んで座るよう教えられることも多いが、長い時間しっかり組んだままだったり、脚にはほとんど動きがなかったりしたなら、強い警戒心の表れだ。なかでも、何かの質問をされたとたんに突然足首を組んで固定する動作は、最もはっきりしたサインになる。